2025/03/28 17:54
コーヒー豆は「生豆(なままめ)」と呼ばれる状態で輸入されますが、このままでは飲むことができません。焙煎することで、はじめてコーヒー特有の香りと味が引き出されます。
なぜ焙煎が必要なのか?
生豆の状態では、コーヒー特有の風味はほとんど感じられず、草のような青臭さがあります。焙煎の過程で、豆に含まれる水分が蒸発し、糖分やアミノ酸が化学反応を起こすことで、香ばしさや甘み、酸味、苦味といった複雑な風味が生まれます。
また、焙煎中には二酸化炭素などのガスが発生し、豆の内部に蓄えられます。焙煎したての豆をすぐに使うと、ガスが多すぎて味が落ち着かないため、通常は数日間の「ガス抜き(デガス)」を行うことで、風味を整えます。
焙煎度による味の変化
焙煎度によってコーヒーの味わいは大きく変化します。焙煎時間や温度の微調整によって、同じ豆でも異なる風味を引き出すことができます。
浅煎り:酸味が際立ち、フルーティーな風味が感じられる。紅茶のような軽やかな口当たりで、スペシャルティコーヒーの個性を活かしやすい。
中煎り:甘みと酸味のバランスが取れ、適度な苦味も加わる。チョコレートやナッツのような風味があり、多くの人にとって飲みやすい。
深煎り:苦味が強まり、コクが深くなる。スモーキーな香りやキャラメルのような甘みが増し、ミルクとの相性も良い。
焙煎方法の違い
焙煎機の種類によっても味わいが変わります。それぞれの焙煎機の特性を理解することで、好みの味を追求できます。
直火式焙煎機:炎が直接豆に触れるため香ばしさが増し、個性的な味わいになる。しかし、熱の当たり方にムラが出やすく、焦げやすい点に注意が必要。
半熱風式焙煎機:直火と熱風のバランスを取りながら焙煎するため、均一に仕上げやすい。焙煎士の技術によって味の幅が広がる。
熱風式焙煎機:熱風で豆を煎るため、雑味が少なくクリーンな味になりやすい。酸味や甘みがクリアに出やすく、フルーティーなコーヒーに適している。
ヒーター式焙煎機:細かい調整が可能で、豆の個性を最大限に引き出せる。熱源が上部にあるためチャフ(薄皮)が焦げにくく、スモーキーな香りが抑えられる。特に透明感のある味わいを求める場合に適している。
コーヒーの香りの奥深さ
焙煎によって引き出される香り成分は800種類以上とも言われます。ワインの香り成分(200〜300種類程度)に比べ、コーヒーはその3倍近くも多いのが特徴です。
焙煎度や豆の品種によって、異なる香りを楽しむことができます。
浅煎りのエチオピア産の豆:ジャスミンやベリーのような華やかな香り。
深煎りのコロンビア産の豆:チョコレートやナッツのような濃厚な香り。
焙煎直後と数日後では香りの感じ方も変わるため、焙煎したての豆と少し時間を置いた豆の違いを楽しむのも面白いポイントです。
まとめ
コーヒー豆は生豆のままでは飲めず、焙煎することで本来の風味が引き出されます。焙煎度や焙煎方法によって味わいは大きく変わり、それがコーヒーの多様性を生み出しています。
私の焙煎所では、ヒーター式焙煎機を使用し、豆の個性を最大限に活かしたコーヒーをお届けしています。クリーンで雑味のない味わいを追求し、豆ごとの魅力を引き出す丁寧な焙煎を心がけています。
コーヒーは産地や品種だけでなく、焙煎によってもまったく異なる表情を見せます。浅煎りのフルーティーな酸味、中煎りの甘みとコクのバランス、深煎りのしっかりとした苦味。あなたの好みにぴったりの一杯を見つけるお手伝いをさせてください。
一杯のコーヒーが、日常に特別なひとときをもたらします。そんな体験を、私の焙煎所のコーヒーで味わってみませんか?