2025/03/29 18:48
「標高の高い場所で育ったコーヒーは美味しい」と聞いたことはありませんか?実は、その美味しさの秘密は「寒暖差」にあります。昼夜の気温差が大きい環境で育つコーヒーは、より甘く、風味豊かになるのです。今回は、その理由を解説しながら、高地産コーヒーの魅力を深掘りしていきます。
昼夜の寒暖差が甘みを引き出す
標高の高い地域では、昼間は暖かく、夜はぐっと冷え込むため、寒暖差が大きくなります。この温度変化が、コーヒーチェリーの糖度を高める重要なポイントです。植物は、昼間に光合成を行い、デンプンや糖分を作り出します。しかし、夜の気温が低いと、その糖分がエネルギーとして消費されにくくなります。すると、作られた糖分が実の中に蓄積され、結果として甘みの強いコーヒーチェリーが育ちます。
この仕組みは、寒暖差のある地域で育った果物や野菜が甘くなるのと同じです。例えば、北海道産のとうもろこしやりんご、標高の高い地域で栽培されたブドウなども、寒暖差によって糖度が高くなり、美味しさが際立ちます。コーヒーも同じように、寒暖差が大きいほど糖度が上がり、甘みとコクのある味わいに仕上がるのです。
標高によるコーヒー豆の分類(中南米の一例)
一部の中南米の国では、標高によってコーヒー豆のグレードが決められています。特にグアテマラでは以下のような基準が使われます。
SHB(Strictly Hard Bean): 1,200m以上で栽培された最上級グレード
HB(Hard Bean): 900m〜1,200mで栽培された豆
SLB(Standard Low Bean): 900m以下で栽培された豆
SHBの豆は密度が高く、しっかりとした硬さがあります。そのため、焙煎すると風味が豊かになり、透明感のある味わいを楽しむことができます。
ただし、この分類はすべての生産国で使われているわけではなく、国や地域ごとに異なるグレード基準が存在します。例えば、エチオピアやケニアではスクリーンサイズやカッピングスコアが重視されることが多いです。
害虫や病気に強く、ナチュラルな栽培が可能
標高が高いと、気温が低いため、コーヒーの大敵である害虫や病気が発生しにくくなります。そのため、農薬の使用を最小限に抑えることができ、より自然に近い方法でコーヒーを育てることが可能です。オーガニックコーヒーが高地産に多いのも、このためです。
高地産コーヒーの味の特徴
寒暖差のある環境で育ったコーヒーは、甘みと酸味のバランスが良く、フルーティーな香りが際立つものが多くなります。特に、エチオピアやグアテマラ、コロンビアの高地産コーヒーは、果実感のあるフレーバーが特徴的で、紅茶のようなニュアンスを持つものもあります。
世界で最も高地で栽培されるコーヒー
ボリビアやペルーの一部では、標高2,000mを超える場所でもコーヒーが栽培されています。こうした超高地産のコーヒーは、フローラルな香りやスパイスのような複雑な風味を持ち、独特の味わいを楽しむことができます。
まとめ
高地で栽培されたコーヒーが美味しいのは、寒暖差によってコーヒーチェリーの糖度が上がるから。そして、ゆっくり熟すことで風味が凝縮され、害虫の被害も少なく、よりクリーンで繊細な味わいが生まれます。次にコーヒーを選ぶときは、ぜひ産地の標高にも注目してみてください。