2025/04/08 15:19
最近、カフェやスーパーで「フェアトレード」の文字やマークを見かけることが増えてきました。

ただ、実際にどういう仕組みなのか、「なぜフェアなのか?」を詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、フェアトレードとは何か、なぜ必要なのか、そして近年注目されている「ダイレクトトレード」との違いにも触れながら、わかりやすく解説していきます。
フェアトレードとは?
フェアトレードとは、開発途上国の生産者が、労働に見合った公正な価格で農産物を販売できるようにするための仕組みです。
フェア(公平)なトレード(取引)という名前の通り、生産者が搾取されず、安定した生活を続けられるように設計されています。
コーヒー豆の多くは中南米、アフリカ、アジアの小規模農家によって生産されていますが、市場価格が下落すると、生産者はコストをまかなえなくなり、生活が困窮することがあります。
フェアトレードは、こうした価格変動のリスクから生産者を守り、長期的に農業を続けられるよう支援します。
フェアトレードの仕組みと認証制度
フェアトレードには認証制度があり、一定の基準を満たした生産者団体や輸入業者、製品に「フェアトレード認証ラベル」が与えられます。
認証制度の中でも、もっとも広く知られているのが「国際フェアトレード認証」です。
この認証には、次のような特徴があります。
1. 最低価格の保証
フェアトレードでは、市場価格がどれだけ下がっても、生産者が生活を維持できる最低価格が保証されます。
例えば、アラビカ種のコーヒーであれば、1ポンドあたり1.40ドル(+オーガニックなら0.30ドル)といった形で設定されています。
2. フェアトレード・プレミアム
最低価格に加えて、「プレミアム」と呼ばれる追加資金が生産者団体に支払われます。
この資金は地域の教育、医療、生活インフラの整備、環境保全などに使われ、農家自身が話し合って使い道を決めます。
3. 労働環境と環境保護の基準
認証を得るためには、児童労働や強制労働の禁止、労働者の権利の尊重、農薬の使用制限などの環境的・社会的基準も満たす必要があります。
フェアトレードとダイレクトトレードの違い
ここで、最近注目されている「ダイレクトトレード」との違いを見てみましょう。
どちらも生産者を支える仕組みではありますが、アプローチの方法や考え方に違いがあります。
フェアトレード
認証制度があり、国際的に統一された基準がある
生産者は協同組合などの団体で認証を受ける必要がある
最低価格とプレミアムが保証されており、長期的な支援に強みがある
消費者は「認証マークがある商品を選ぶだけ」で参加できる
ダイレクトトレード
焙煎業者や輸入業者が生産者と直接やり取りする仕組み
中間業者が少なく、信頼関係を前提に個別の価格交渉や契約が行われる
認証制度はなく、品質や取引内容は業者ごとに異なる
高品質な豆を適正価格で買い取ることが多く、農園に直接利益が届くメリットがある
たとえば…
フェアトレードは「ルール化された公正な仕組み」で、誰が買っても支援の輪に入れるという手軽さがあります。
一方、ダイレクトトレードは「一対一の信頼関係と高品質を重視した取引」で、より個別性が高く、生産者の顔が見えるケースが多いです。
どちらが「良い」かではなく、どちらも違った形で生産者を支える仕組みだといえます。
私たちにできること
フェアトレード商品を見かけたときに、ちょっと立ち止まって選んでみる。
それだけでも、世界のどこかの生産者を支えることにつながります。
ギフトにフェアトレードのチョコレートやコーヒーを選んだり、
家で飲む一杯のコーヒーをフェアトレードに変えてみるのもひとつの方法です。
すべてを変える必要はありません。
でも、小さな選択が、大きな変化の一歩になることもあります。
最後に
コーヒー一杯の裏には、たくさんの人の手と時間、そして暮らしがあります。
フェアトレードは、それを支え合いの関係に変えていく手段のひとつです。
「ちょっといいこと」を、日々の暮らしの中に取り入れてみる。
そんな選択肢として、フェアトレードを知ってもらえたらうれしいです。