2025/04/13 15:35

私たちが日々飲んでいるコーヒー。その風味や香りの違いは、産地や焙煎だけでなく、「品種」によっても大きく変わってきます。品種ごとに、酸味の質や甘み、口当たりが異なり、まるでワインのぶどうのように、多彩な個性を楽しめます。

今回は、そんなコーヒーの品種を、アラビカ種を中心にロブスタやリベリカなども含めてご紹介します。それぞれの特徴を簡潔にまとめているので、飲んだときの味わいと照らし合わせて楽しんでみてください。

【アラビカ種系】

※風味に優れた品種が多く、スペシャルティコーヒーで主流

● ティピカ
アラビカの原種に近い品種。クリーンで繊細な味わいが特徴で、高地栽培に適しているが病害に弱い。

● ブルボン
ティピカの突然変異種。丸みのある甘さと柔らかな酸味を持ち、ラテンアメリカで多く栽培される。

● カトゥーラ
ブルボン系の自然突然変異。小柄で管理しやすく、酸と甘みのバランスが良い。

● パカス
エルサルバドルで発見されたブルボン系の変異種。やさしくまろやかな口当たりが特徴。

● パカマラ
パカスとマラゴジッペの交配種。大粒の豆で、華やかな香りとしっかりしたボディ感が魅力。

● マラゴジッペ
ティピカの突然変異で豆が非常に大きい。軽やかで繊細な味わいを持つ。

● ムンドノーボ
ティピカとブルボンの自然交配種。風味は穏やかで、しっかりしたボディがある。

● カトゥアイ
ムンドノーボとカトゥーラの交配種。コンパクトな樹形でブラジルを中心に広く栽培されている。

● イエローブルボン
黄色く熟すブルボンの変異種。フルーティーで酸味が明るく、甘さも豊か。

● ピンクブルボン
果皮がピンク色になる珍しい品種。強い甘みと華やかな香りで人気。

● オレンジブルボン
オレンジ色の果実をつける珍しいタイプ。まろやかでフルーティーな風味。

● ゲイシャ
エチオピア原種で、パナマで高く評価された品種。紅茶やジャスミンのような華やかな香りが特徴。

● エチオピアン・ヘイルーム
エチオピアに自生する在来種の総称。フローラルで複雑な酸味を持つ。

● クルメ
エチオピア原産のフローラルな品種。紅茶のような香りと明るい酸が特徴。

● デガ
エチオピアの在来品種で小粒。紅茶のような香りと軽やかな飲み口を持つ。

● ビジャサルチ
コスタリカで発見されたブルボン系。柔らかな甘みとクリーンな後味が魅力。

● SL28
ケニアで開発された高品質品種。柑橘系の明るい酸味とジューシーな風味が特徴。

● SL34
SL28に似るが湿度に強い。重厚で深みのある味わいを持つ。

● ルイル11
SL系の交配によって生まれた品種。病害に強く、ケニアで広く導入されている。

● バティアン
ケニアで開発された近年の品種。高収量で風味も安定しやすい。

● ジャクソン
ティピカ系で主にルワンダなどで栽培。明るい酸味と果実感が特徴。

● カティモール
カトゥーラとティモールの交配。病害に強いが、風味にはバラつきがある。

● サルチモール
ビジャサルチとティモールの交配種。中米で広く栽培される実用品種。

● IHCAFE90
ホンジュラスで開発されたサルチモール系品種。病害耐性と収量性に優れる。

● レピラ
IHCAFE90の系統品種。安定した品質と生産性を両立。

● オバタ
ブラジルで開発されたハイブリッド。風味と耐病性のバランスが取れている。

● トゥピ
オバタから派生した品種。効率的な栽培が可能で、ブラジルで多く利用される。

● セントロアメリカーノ
F1ハイブリッドの品種。スペシャルティ品質と高収量を両立する。

● スターマヤ
F1ハイブリッドでありながら種から育てられる。甘さや風味に優れる注目株。

● マルセリサ
サルチモール系のF1。甘くクリーンで、酸の印象もきれい。

● H1(ハイブリッド1)
複数の系統を掛け合わせたF1。高収量で、風味も安定している。

● ハワイ・コナ
ティピカ系でハワイ独自の風味を持つ。柔らかく上品な味わいが魅力。

● プルーマイダルゴ
メキシコで見られるティピカ系。軽やかでクリーンな味わい。


【カネフォラ種】

※苦味やコクが強く、ブレンドやエスプレッソに多用

● ロブスタ
アフリカ原産で、カフェイン量が多く苦味が強い。クレマが出やすく、イタリアのエスプレッソに欠かせない。

● コンロン
ブラジルで広く栽培されるロブスタ系。収量が多く、商業用に使われる。

● クイユ
アフリカで栽培される病害に強いロブスタ亜種。力強く、濃厚な風味がある。

● ングンダ
ウガンダやコンゴで見られるロブスタの一種。重厚なコクと強い苦味が特徴。

【リベリカ種・その他】

※生産量は少ないが、個性的な香味を持つ

● リベリカ
西アフリカ原産。非常に大きな木と大粒の豆が特徴で、ウッディな香りと個性的な味わい。

● バラコ
フィリピンで親しまれているリベリカ種。スパイシーで重みのある風味がある。

● エクセルサ
フルーツのような強い酸味と個性的な香り。かつてリベリカに分類されていたこともある。

おわりに

どの品種にも、それぞれの「らしさ」があります。気になる名前の品種を見かけたら、ぜひ一度試してみてください。
当店でも品種や産地を意識した焙煎豆を販売しています。味の違いをもっと楽しみたい方は、ぜひショップを覗いてみてください。

香り豊かな一杯との出会いを、日常の中に。