2025/04/20 19:38
コーヒーを飲むとホッとする。朝の一杯がないと落ち着かない。そんな感覚、誰しも一度は経験があるかもしれません。では、これって「依存」なのでしょうか?もっと言えば、「中毒」なのでしょうか?
今回は、カフェインの依存性についてみてみましょう
「カフェインがないとダメ」という気持ち
「今日はコーヒーを飲んでいないから頭が痛い」 「朝の一杯がないと調子が出ない」
これらはカフェイン離脱症状の一種です。実際、世界保健機関(WHO)やアメリカ精神医学会(APA)は、カフェインに一定の依存性があると認めています。離脱症状としては、頭痛、眠気、集中力の低下、気分の落ち込みなどが挙げられ、摂取をやめると24時間以内に現れ、数日続くこともあります。
けれどもここで一つの視点を加えてみましょう。
依存=悪なのか?
「依存」という言葉には、どこかネガティブな印象があります。けれど、私たちは水にも空気にも、そして人との関わりにもある種“依存”しています。それがなければ生きられない。では、カフェインは?
カフェインは神経を刺激し、眠気を軽減し、集中力を高める働きがあります。一方で、強烈な報酬系(いわゆる「快楽中枢」)を刺激する薬物と比べると、その作用は穏やか。ドーパミンの放出も限定的で、「また欲しい」と思わせる力は比較的弱いとされています。
それでも、日常的に摂っていると、体は慣れてしまう。つまり、カフェイン耐性ができて、効き目が薄くなる。その結果、つい量が増える。これは薬理学的には“依存形成”に近いメカニズムです。
「コーヒーを飲む行為」に依存している?
科学的な中毒性とは別に、もう一つ面白い考え方があります。
もしかすると、私たちは「カフェインそのもの」に依存しているというより、「コーヒーを飲むという習慣」「カップを手に持つというリズム」「香りに包まれる安心感」などに依存しているのかもしれません。
たとえば、デカフェを飲んでも満足する人がいます。これは、カフェインがなくても「飲む」という行為で心が落ち着くことを示唆しています。つまり、依存しているのは物質ではなく、体験そのものかもしれない。これはちょっと面白い観点です。
結局、カフェイン依存は「ある」のか?
答えは「あるけれど、他の依存性物質とは性質が異なる」というのが現代の科学の見解です。
ヘロインやアルコールのような強烈な身体依存や、ニコチンのような急激な報酬系の刺激と比べれば、カフェインは比較的穏やか。ただし、習慣化しやすく、やめると体に変化が起きるという意味では、「軽度の依存性がある」と言えます。
コーヒーと、うまく付き合うということ
コーヒーは嗜好品です。楽しむもの。健康を害するレベルで飲みすぎない限り、うまく付き合っていける存在です。
もし「ちょっと飲みすぎてるかも?」と思ったら、一度デカフェに切り替えてみたり、飲むタイミングを見直してみたり。無理にやめなくても、自分のペースで楽しむ工夫ができます。
ちなみに、うちの豆はどれも中煎り~中深煎りで、カフェインの苦味よりも香りのバランスを大切にしています。朝の一杯がちょっと優しく感じられるような風味、そろっていますよ。