2025/05/10 07:18

暑くなると飲みたくなる冷たいコーヒー。なかでもよく耳にするのが「アイスコーヒー」と「水出しコーヒー」です。見た目は似ていても、実は味わいや特徴はかなり違います。

今回は、焙煎や抽出の視点から、ふたつの冷たいコーヒーの違いをご紹介します。

 

抽出温度が決定的なちがい

まず大きな違いは、どの温度でコーヒーを抽出するかという点です。

アイスコーヒーは、90〜96℃ほどの高温で淹れたコーヒーを氷で急冷する方法が一般的です。香りや酸味がはっきりと感じられ、キレのある味わいが特徴です。

水出しコーヒー(コールドブリュー)は、8〜12時間かけて水でじっくり抽出するため、苦味や酸味が抑えられたやわらかい味わいになります。雑味が出にくく、口当たりもまろやかです。

 

成分の出方やカフェイン量のちがい

カフェインは水でも抽出できますが、温度が高いほど短時間で多く引き出されます。アイスコーヒーは短時間でもしっかりとカフェインを含んでいます。

一方、水出しはゆっくり時間をかけて抽出するため、やさしい味わいでもカフェイン量が少ないとは限りません。豆の量や抽出時間によっては、意外としっかり効いていることもあります。

また、苦味のもととなるタンニンやトリゴネリンは、高温でより抽出されやすくなります。アイスコーヒーはそれによってコクやシャープさが際立ち、水出しは苦味控えめで柔らかく仕上がります。

 

豆の焙煎度や種類による向き不向き

冷たいコーヒーをより楽しむには、豆の焙煎度や種類との相性もポイントです。

― 深煎りの豆は焙煎によって細胞構造が壊れており、水でも成分が出やすいため水出しに向いています。ナッツやカカオのような風味が感じられ、甘みも引き立ちます。

― 中煎り〜浅煎りの豆は、酸味や香りが命です。高温で抽出した方がその個性が引き出されやすく、アイスコーヒーに向いています。

豆の魅力を活かす抽出方法を選ぶことで、味の表現の幅もぐっと広がります。

 

食べものとの相性もさまざま

アイスコーヒーは、香ばしさやシャープな酸味があるため、フルーツタルトやレモンケーキのような爽やかなスイーツとよく合います。

水出しコーヒーは紅茶のようなまろやかさを感じることもあり、チョコレートケーキやバター系の焼き菓子などと合わせると、お互いの甘さが引き立ちます。

冷たいコーヒーを食べものと一緒に楽しむと、その魅力がより深まります。

 

保存や酸化のしやすさ

抽出後の保存性にも違いがあります。

アイスコーヒーは高温で淹れているぶん、香りが飛びやすく酸化も早いため、なるべく早めに飲み切るのがおすすめです。

水出しコーヒーは酸化は比較的ゆるやかですが、抽出に時間がかかるぶん雑菌が繁殖しやすい側面もあります。冷蔵保存し、できれば24〜48時間以内に飲み切ると安心です。

 

まとめ:どちらにも、それぞれの魅力があります

アイスコーヒーと水出しコーヒーは、抽出方法や味わいの点で大きく異なります。

・香りと酸味、爽快感を楽しみたいならアイスコーヒー
・やわらかな甘みとまろやかさを楽しみたいなら水出しコーヒー

その時の気分や、合わせたい食べものに応じて選べば、もっと冷たいコーヒーが楽しくなります。

まだ飲み比べたことがない方は、ぜひ試してみてください。違いを感じることで、コーヒーの楽しみが一段と広がります。

 


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