2025/05/11 16:55

「コーヒー豆って粗挽きがいいの?それとも細挽き?」

こんな質問、けっこうよくいただきます。

正直なところ、答えは「飲み方や器具による」なんです。
でも、それだけじゃなんだか不親切ですよね。

挽き目(グラインドの粗さ)は、味わいの決定的な要素。
コーヒーの濃さだけでなく、香りや口あたり、後味にまで関わってきます。

この記事では、挽き目によってどう味が変わるのか、
器具ごとにどう挽き分ければ美味しくなるのかをまとめました。

コーヒー豆を買ったあと、どの挽き方にするか迷っている方の参考になればうれしいです。


挽き目が味を決めるってどういうこと?

コーヒー豆を挽いたときの粒の大きさで、味はガラッと変わります。
これは、お湯とコーヒーの粉が触れる「表面積」と「接触時間」が変わるからです。

粒が大きい(粗挽き)と、表面積が小さくなって味の抽出はゆっくり。
軽くてスッキリとした味になりやすいです。

逆に、細かく挽く(細挽き)と表面積が増えて、
お湯に触れるだけでしっかりと味が出やすくなります。

ただし、細かく挽いて長く抽出すると、えぐみや渋みが出ることも。
つまり「どちらが正解」ではなく、「どんな味にしたいか」で決めるのがベストです。


器具ごとに変わる、ちょうどいい挽き目

淹れ方によって、お湯と粉が触れる時間が変わります。
そのため、器具ごとに合った挽き方があるんです。

  • エスプレッソマシン
     極細挽き。短時間・高圧で抽出。コクと苦味がしっかり出る。

  • ハンドドリップ(ペーパードリップ)
     中細挽き〜中挽き。バランス重視で調整しやすい。

  • フレンチプレス
     粗挽き。4分ほど浸けて抽出。雑味が出にくくまろやか。

  • ネルドリップ
     中挽き。ゆっくり抽出されるため、ほどよい粗さが◎。

  • サイフォン
     中細挽き〜中挽き。均一な味を出しやすい。

  • コールドブリュー(水出し)
     粗挽き。長時間かけてゆっくり抽出。

このように、抽出方法に合わせて挽き目を変えるだけで、ぐっと美味しさが変わります。


焙煎度と挽き目の関係

実は、焙煎の深さによっても、挽き方のおすすめが少し変わります。

浅煎りは水分を多く含んでいて、豆がかたい。
だから細挽きにしてあげると味が出やすくなります。

一方で、深煎りは水分が抜けていてもろく、粗挽きでもしっかり味が出ます。
細挽きにしすぎると、渋みや苦味が目立ちすぎることもあるので注意です。

焙煎の度合いと、挽きの粗さ。
両方を見ながら調整すると、バランスのいい味になります。


挽き目だけじゃない。水や温度も関係します

挽き目は大事。でも、実はそれだけじゃないんです。

たとえば水の硬度。
硬水だと苦味が出やすく、軟水だと香りが立ちやすい傾向があります。

抽出温度も味に影響します。
高温なら粗挽きでも味がしっかり出ますし、低温抽出(80℃前後)なら細挽きのほうが向いています。

注ぎ方ひとつでも変わります。
ゆっくり注ぐと抽出時間が長くなり、細挽きでは渋みが出やすくなる。
粗挽きなら、その長い抽出時間にちょうど合うんです。

だから「この豆にはこの挽き目」と決めつけずに、まわりの条件とも合わせて考えてみると、ぐっと美味しくなります。


粒の大きさが揃っているかどうかが重要

どんな挽き方にしても、実はもっと大事なことがあります。
それは「粒の大きさがそろっているかどうか」。

家庭用のブレードミル(プロペラ式)は安価で手軽ですが、粒度がバラつきやすく、微粉(とても細かい粉)が多く出ます。

この微粉が雑味や渋みの原因になることも。

できれば臼式ミル(手挽きでも電動でも)を使って、均一な挽き目を目指すと、味も安定します。


粗挽きと細挽き、どっちがいいの?

ここまで読んできて、もうお気づきかもしれません。

「粗挽きがいいの?細挽きがいいの?」の答えは、
「どんな味にしたいかによる」が正解です。

軽やかでクリアな味を楽しみたいなら粗挽き。
コクや力強さを求めるなら細挽き。

そして器具や温度、焙煎度、水の質などを見ながら、ちょうどいい挽き目を探していく。

その過程そのものが、コーヒーを楽しくするひとつの魅力だと思っています。


最後に──「挽き目で遊ぶ」と、コーヒーはもっと楽しくなる

コーヒー豆を挽く。
たったそれだけのことですが、味を決めるとても大切な工程です。

たとえばグアテマラのコーヒーなら──
中挽きでハンドドリップすれば、チョコのような甘さと酸味のバランスが取れた一杯に。
粗挽きで水出しにすれば、丸みのあるやさしい味わいが楽しめます。

同じ豆でも挽き方ひとつで、印象が大きく変わる。
もし「最近ちょっと飽きてきたな」と感じたら、挽き目を変えてみるのもおすすめです。

小さな変化が、コーヒーの楽しさを何倍にも広げてくれます。