2025/05/25 11:09

カフェやコーヒーショップのメニューで目にする「ハウスブレンド」。聞き慣れた言葉ではありますが、「それってどんなコーヒー?」と聞かれると、答えるのが難しいかもしれません。

一般的に、ハウスブレンドとはお店が独自に設計したブレンドコーヒーのこと。複数の生豆を組み合わせて、その店らしい味わいに仕上げたコーヒーです。スペシャルティコーヒーの世界では、単なるコスト調整のためのブレンドではなく、「お店の顔」としての意味を持っています。

たとえば、初めて訪れるお客様が最初に選ぶ一杯として。あるいは、その店の世界観を最も端的に伝える手段として。ハウスブレンドには、その店が“どんなコーヒーを良しとしているか”という哲学が表れるのです。


味のバランスを設計する

ハウスブレンドでは、単一の産地では出せない味の調和を追求します。

たとえば、

  • 甘さとコクのベースにブラジル

  • 香りのアクセントにエチオピア

  • 明るさと酸味の支えにグアテマラ

このように、複数の豆を役割ごとに組み合わせて、ひとつの“設計された味”を作っていきます。焙煎度も味づくりの重要な要素。浅めで爽やかに仕上げる店もあれば、深煎りでまろやかな苦味を持たせる店もあります。

また、豆を焙煎してから混ぜる「ポストブレンド」と、焙煎前に混ぜて一緒に焼く「プレブレンド」では、口当たりや一体感に違いが出ます。店ごとの工夫が現れる部分です。


安心感と発見のバランス

シングルオリジンが注目される時代ですが、ハウスブレンドには**“何度でも戻ってこられる味”**という強みがあります。旬の豆は確かに魅力的ですが、季節やロットによって大きく風味が変わるため、「今日はどんな味だろう?」というドキドキ感があります。

その点、ハウスブレンドは意図的に**「味の安定」を重視**しています。毎日飲んでも飽きがこない。常連さんにとっての安心感を支える存在でもあります。

一方で、ただ無難なだけのブレンドでは記憶に残りません。だからこそ、どこかに「らしさ」や「発見」がある。酸味の輪郭、香ばしさの余韻、甘みの奥行き——その一杯に、店主やロースターの想いが込められているのです。


味だけでなく、物語も込めて

ハウスブレンドには、味わいだけでなく物語をどう伝えるかも問われます。

たとえば、「森の午後」や「日々のしるし」といった名前がつけられていれば、味の想像が広がります。コーヒーの香りと一緒に、情景や気分まで思い浮かぶような。これは、単なる商品説明以上に、お店とお客様の距離を縮めてくれる工夫です。

また、インテリアや音楽と調和する味わいに設計されていれば、店内で過ごす時間そのものが“ブレンドされた体験”になります。ハウスブレンドは、その中心に置かれる存在なのです。


最初の一杯に、店のすべてが詰まっている

ハウスブレンドは、派手さこそないかもしれません。ですが、その一杯の奥には、選ばれた豆と、試行錯誤を重ねた焙煎、そして設計された味わいが存在します。

どんなお店かを知りたければ、まずはハウスブレンドを飲んでみてください。きっと、そのコーヒーが語りかけてくるはずです。「私たちは、こんな味を届けたいんです」と。

当店では、、、

あっ、、、

まだ作っていませんでしたwww