2025/05/26 20:47

コーヒーの世界には、焙煎や抽出、豆の評価など、さまざまな分野で専門性が求められます。その中で、自分の理解を深めたり、技術を磨いたりする手段として「資格」を活用する人も増えています。

ここでは、日本国内で受けられるものを中心に、代表的な資格を一つずつ詳しくご紹介します。


1. コーヒーソムリエ(日本安全食料料理協会)

通信講座で取得できる民間資格で、内容は非常に幅広く、初心者向けの教養講座に近い位置づけです。コーヒーの歴史や豆の種類、焙煎・抽出の基礎知識までが網羅されており、趣味としてコーヒーを楽しみたい方に向いています。

  • 試験は在宅で受けられるため、忙しい人でも挑戦しやすい

  • カフェ勤務経験がなくても問題なし

  • 実技試験やカッピングは含まれず、あくまで座学中心


2. カフェマイスター(日本能力開発推進協会)

こちらも通信講座で取得可能な民間資格ですが、コーヒーだけでなく「カフェ運営」の視点を取り入れているのが特徴です。抽出だけでなく、メニュー構成や接客、厨房機器の管理など、開業を見据えた内容も含まれます。

  • 将来カフェを開業したい人におすすめ

  • 飲食店に必要な基本的な知識も学べる

  • 試験はオンライン対応で、学びやすい構成


3. コーヒーインストラクター検定(全日本コーヒー商工組合連合会)

3級・2級・1級の三段階があり、実技も含めた本格的な検定です。2級からはカッピングや豆の鑑別、1級では生豆の欠点評価やブレンド設計まで求められ、プロ向けの内容になります。コーヒー業界に携わる方にとっては、基本となる認定制度のひとつです。

  • 試験は指定会場で実施される(年に数回)

  • 教本が非常に充実しており、独学にも向いている

  • 1級は非常に難関で、実務経験が役立つ


4. J.C.Q.A認定コーヒー鑑定士(全日本コーヒー検定委員会)

品質管理やブレンド設計、欠点豆の識別といった、コーヒー豆の評価に特化した資格です。業務としてコーヒー豆の仕入れ・品質管理を行う人や、ロースターにとっては非常に有用。長年業界で働いてきた人がスキルの証明として取得するケースも多いです。

  • 官能評価、焙煎、グレーディングなどの専門スキルを網羅

  • 試験には実務的な判断力が問われる

  • 資格維持のために継続的な勉強も必要


5. Qグレーダー(CQI:Coffee Quality Institute)

スペシャルティコーヒーの格付けに関わる、国際的に権威ある資格。全世界共通の基準に基づき、カッピングによる品質評価を行う能力が認定されます。試験は英語で行われ、合格率も低い難関資格ですが、海外との取引や高品質コーヒーの取り扱いに関わる人には不可欠な資格です。

  • テイスティング能力が極めて重視される

  • 試験内容はセンサリー、トライアングル、グレーディングなど計19項目

  • 資格更新が3年ごとに必要(再試験あり)


6. SCA認定資格(Specialty Coffee Association)

スペシャルティコーヒーにおける、国際標準の認定資格です。バリスタ、ブリューイング、焙煎、グリーンコーヒー、サステナビリティなど、分野ごとにコースが分かれています。各コースは3段階(Foundation/Intermediate/Professional)に分かれており、体系的に学べるのが特徴です。

  • 実技と理論がバランス良く組み込まれている

  • ヨーロッパやアジアなど各地で実施され、日本でも講習あり

  • 国際資格としての信頼性が高く、輸出入業者やロースターにも人気


7. バリスタライセンス(SCAJ:日本スペシャルティコーヒー協会)

日本で最も広く知られている、エスプレッソ系のバリスタ育成プログラムのひとつ。SCA(国際協会)の教育プログラムに準拠しており、抽出・スチーム・ラテアートの基本操作、さらには接客技術も学びます。

  • カフェ現場で即戦力となる実技が中心

  • 初級・中級・上級のステップアップ型

  • 講座は都市部開催が多く、事前予約制


8. JBAバリスタライセンス(日本バリスタ協会)

こちらはエスプレッソを中心とした実技重視の資格。マシンの調整、抽出時間の管理、豆の特性理解など、ハンズオンの学びが多く、レベル1〜3に分かれています。カフェスタッフの社内研修として導入する事業者もあります。

  • 技術に加え、バリスタとしての意識面も問われる

  • 競技会形式の試験もあり、実践力が養われる

  • 協会主催イベントやセミナーにも参加しやすくなる


9. ハンドドリップ検定(日本珈琲文化連盟)

ペーパードリップに特化した、技術認定型の資格。抽出の安定性、湯温・スピードの管理、仕上がりの味の整え方など、家庭でも役立つ知識を体系的に学べます。一定の技術を修めると講師認定にもつながります。

  • ドリップの動きや注湯のコントロールを重視

  • 講師によるマンツーマン指導形式が多い

  • 地方開催もあり、受講しやすい


10. UCCコーヒーアカデミー認定講座

UCCが提供する教育プログラムで、抽出・焙煎・テイスティングなど、実践的な内容が揃っています。資格というよりは「講座修了認定」ですが、企業研修にも利用されることから、一定の信頼があります。

  • 実習中心で、体験しながら学べる

  • 初心者向けからプロ向けまで段階的に選べる

  • 設備が整ったアカデミーで学べる点も魅力


11. カフェ開業講座(民間スクール)

資格名は統一されていませんが、実際に開業を目指す人向けの講座として人気があります。収支計画の立て方、厨房機器の選定、メニュー作成、SNS発信など、現場で役立つ内容を短期集中で学べます。

  • コーヒーの抽出技術以外の「経営面」も学べる

  • 開業支援や物件紹介などのサポートがあるスクールも

  • 講座によって内容に差があるため、事前の比較が重要


おわりに:資格は学びのきっかけとして

コーヒーの資格は「すぐに仕事に直結する」ものばかりではありませんが、知識や技術を整理し、深く理解するきっかけになります。どの分野に興味があるか、どこまで学びたいかを考えながら、自分に合ったものを選んでみてください。

それぞれの資格には、その道の奥深さがあります。もし何か気になるものがあれば、その一歩がきっとコーヒーの楽しみ方を広げてくれるはずです。